名前は、フェリックス

新海誠作品の地上波連続放映があった、今のタイミングでしか書けないようなことを書きたい。

映画『君の名は。』はボーイ・ミーツ・ガールのお話であると紹介されることが多いけど、主人公の二人が出会う物語ではない。
ではどのような話かというと、彼らは「すでにどこかで出会っていたかも知れない」という物語だ。

すれ違っただけでお互いを意識してしまった二人が、すでにどこかで出会っていたとすれば、それはいつどのようにしてだろう。その答えは、さっきまで見ていたはずの、でも思い出せない夢の中にある。

この映画をはじめに観たときに、そういえば自分にもそのようなことがあった、と思いあたったことがある。

“名前は、フェリックス” の続きを読む

映画「天気の子」、ラブソングのあとで

自分はいま、京都にいる。

今度東京に行ったら、その東京は自分の知っているはずの東京ではないかもしれない。
電車の駅の中と外を行き来し、過ぎ行く人の顔を眺め、ざわめく声を聴きながら、それがいつもの東京であるのだと言い聞かせる事しかできない。いつも、東京ではそうなのだから。

ひとつの歌によって流された大量の涙は巨大な都市を飲み込んで、今も空から降り続いている。その歌を歌っていた人は姿を変え、ひたすらに祈っていた。その姿を見て、何のためにそうするのかと、自分は尋ねることが出来ない。
東京に来た理由でさえ、自分は誰に尋ねればいいのだろう。
誰がその答えを持っているのだろう。

“映画「天気の子」、ラブソングのあとで” の続きを読む