ダンテを読めない

「ダンテを読んで」と書こうと思ったが、読めなかった。

そもそも「ダンテを読んだ」ことのある人とは、誰のことだろうか。
バッハどころではなく長く忘れられていたダンテの『神曲』を19世紀の初めに読んだ人の代表はスタンダールとのことだ。
そのスタンダールにしても、ダンテのテキストそのものを読んだのか、ダンテについて書かれたものを読んだのかということが、なかなかはっきりしないらしい。
1803年、まだ20歳だったスタンダールは地獄篇の有名な「ウゴリーノ」のエピソードを自分で翻訳したいと思ったらしいが、 “ダンテを読めない” の続きを読む