1890年の夏、ブラームスは「これ以降、もう僕の作品が出来るのを待たされたりすることはないよ。」と言って、弦楽五重奏曲 作品111を出版社に送り付けて、これまでにも幾度か繰り返していた “ブラームス、クラリネット” の続きを読む
ハンマークラヴィーア・ソナタ
目が見えすぎて、普通の人間が見ないようなものばかりを見てしまい、目を閉じて生活している人 “ハンマークラヴィーア・ソナタ” の続きを読む
忘れられたロマンス
1880年、70歳を迎えようとしていたフランツ・リストのもとに出版社から一つの古い楽譜が届いた。「ロマンス」と題されたその作品は、リストが33歳の時に作曲した歌曲をその4年後にピアノソロに書き換えたもので、知る者のごく少ない作品であった。
その古い「ロマンス」の楽譜をどこかで入手した出版社が、この知られざる作品は売れると判断したのだろうか、新たに出版するため老リストにお伺いを立てたというわけである。
さて、ワーグナーの台頭ととも和声の崩壊が叫ばれてすでに久しく、「巡礼の年 第3年」をすでに書き上げ、人に先んじて無調の音楽に向かっていた時期、リストは出版社から送られてきた楽譜を全面的に書き換えて室内楽作品と し、「忘れられたロマンス」と題を付けて出版社に送り返した。
我先に、常に前を向いて進まなければならない。
世のそうした流れの中で、芸術はその最先端の形を映すと同じだけ、人生を振り返る良き時間をも与えてくれる。
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2016年12月14日(水)20:00開演
「忘れられたロマンス」
ヴァイオリン:佐久間聡一
ピアノ:鈴木華重子
http://www.cafe-montage.com/prg/161214.html
ベートーヴェン 空白のあとで
1816年に作曲されたピアノソナタ第28番と1818年の「ハンマークラヴィーア」。1812年からの5年間という、ベートーヴェンの生涯の中でもまれにみる空白期間の終わり “ベートーヴェン 空白のあとで” の続きを読む
牧神の時代
留まりたいときに、いつまでもそこに居続けることのできるような時間を音楽の上 で見出すということは、ドビュッシーが音楽院にいる頃からの命題であった。
これまで通りの和声進行の中で人が期待する “牧神の時代” の続きを読む
ブゾーニ、ゲーテ
大きすぎて、捉えどころがない。
まずそのフルネームがすごい。
ダンテ・ミケランジェロ・ベンヴェヌー “ブゾーニ、ゲーテ” の続きを読む
閉ざされた庭
ここにとどまる自分と、歩きだす自分。つねに平安と焦燥の間にあって、しかし、自分の行動が何によって為されているか、それは哲学よりは詩によって、そのより茫漠とした表現の形式によってあきらかにされる。
1913年、漱石は小説『行人』の終章で “閉ざされた庭” の続きを読む
ヤナーチェク
ヤナーチェクは1854年生まれ。
プッチーニより4歳、ドビュッシーよりは8歳年上である。作曲家としての活動は、ほぼ晩年 “ヤナーチェク” の続きを読む
セザール・フランク
1822年
セザール・フランクはリストより11年、ワーグナーとヴェルディより “セザール・フランク” の続きを読む
詩と真実
公演チラシを作っているときに、タイトルが「ロベルト・シューマンとヨハネス・ブラームス」では文字が多すぎると思ってと煩悶 “詩と真実” の続きを読む