ところでタネーエフというのは、セルゲイ・タネーエフのことだ。
1855年生まれ チャイコフスキーに師事して大変に気に入られた彼は、作曲家である共にピアニストとしても他を圧する存在で、チャイコフスキーの有名なピアノ協奏曲のモスクワ初演のほか、様々に重要な仕事をした。
チャイコフスキーの代表作の一つである「フランチェスカ・ダ・リミニ」はセルゲイ・タネーエフに捧げられている。
セルゲイ・タネーエフは音楽院の教授、後には学院長として、ラフマニノフやスクリャービンほか、その後のロシアを代表する作曲家を輩出した。ストラヴィンスキーは直接指示しなかったものの、セルゲイ・タネーエフの交響曲を「最も重要な模範」として熱心に研究した。
40歳のセルゲイ・タネーエフは、夏の休暇を大作家トルストイの家に招かれて過ごし、そこで大作家の奥さんにひどく気に入られて、それが度を越していたために大作家の大変な嫉妬を誘ったという、その様子がそのおよそ10年前に書かれていた小説「クロイツェル・ソナタ」の状況と重なって面白いということで、ある方面の話題となった。
1905年、その後長く続く革命の勃発と同じくして、セルゲイ・タネーエフは教授職を引退し、作曲活動のほぼ全てを室内楽にあてて、1915年にカンタータ「詩篇を読んで」を作曲したところで、弟子のスクリャービンの葬儀に出席した後すぐに体調を崩して死んでしまった。
セルゲイ・タネーエフの弦楽三重奏曲は、モーツァルトのデュオ K.423にヴァイオリンをもう1本足した編成。モーツァルト、ベートーヴェンからドヴォルザークまで聴こえる場面があるけれど、その清涼な景色の中でストラヴィンスキーやショスタコーヴィチ、ハチャトリアンが挨拶を交わしている。
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2018年5月18日(金) 20:00開演
「セレナーデ」
ヴァイオリン: 瀧村依里
ヴァイオリン: 杉江洋子
ヴィオラ: 金本洋子
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