「散文と歌曲」
2025年2月22日(土) 20:00開演
【プログラム】
C.ドビュッシー:
歌曲集「抒情的散文」全4曲 (1893)
F.リスト:
ノクターン「夢のなかに」S.207 (1885) ※
G.フォーレ:
ノクターン op.43-2 (1886) ※
C.ドビュッシー:
ノクターン (1892) ※
G.フォーレ
歌曲集「優しい歌」全9曲 (1894)
「言葉が先か、音楽が先か」という問いは、その答えを出すためにある問いではなく、問いそのものの意味を考えるための問いではないでしょうか。
言い方を変えれば、言葉とは何か、音楽とは何かという命題の間に自らを置くための問いでもあるのかも知れません。
音楽の側から観察すれば、言葉=詩が先にあったという視点が先に生じることになります。つまりボードレールやヴェルレーヌの詩がまずあって、そのあとにフォーレやドビュッシーの歌曲が生まれたという視点です。
しかし、言葉=詩の側から観察すれば、ボードレールやヴェルレーヌ、マラルメの詩が、音楽なしには生まれえなかったであろうという視点が生じてきます。
ルネサンスや中世、もしくはそれ以前から脈々と生み続けられてきた音楽と言葉に、自らの手を伸ばし、直に触れたいと願う人に、こうした視点が交錯する歌曲の世界をご覧いただきたいというのが、今回の公演の主旨となっています。
『抒情的散文』
ボードレールやヴェルレーヌの詩による歌曲をはじめ、パリ音楽院に在学中からずっと書き続けてきた声楽作品のひとまずの区切りとして、ドビュッシーは自ら2つの自由詩を書いて「政治と文学」という雑誌に寄稿し、さらに2つの詩を付け足して作曲されました。この歌曲集は、同時期に弦楽四重奏曲と『牧神の午後のための前奏曲』に取り組み、また同じ時期に初演されたメーテルランクの演劇を基に新音楽の旗手としてやがてオペラ『ペレアスとメリザンド』を生み出すことになるドビュッシーの、最高潮に達した創作の熱を帯びた傑作です。
『優しい歌』
まだ公職に就く以前、国民音楽協会で一目置かれるほかはサロンの作曲家として名を馳せていたフォーレが、突如として発表し、『牧神の午後のための前奏曲』を書き終えていたドビュッシーをして「難解すぎる」と言わしめた代表作。「未来がいかに暗く、いかに数知れな痛みを齎すものであっても、ただ限りない希望を通して君を見ていたい」…若き日のポール・ヴェルレーヌが16歳の少女に恋をした頃に書き始められた21篇からなる詩集から9編を選び再構成され、調性の限界にまで達する和声と、そのことが目的では決してないようは平穏が時を同じくして訪れる、幻のような瞬間に満ち溢れた随一の歌曲集です。
言葉と音楽が、それぞれの輝きでもってお互いを照らしていた、最も輝かしい時代の二つの作品をお聴きいただきます。皆様、是非聴きにいらしてください。
― 高田伸也 カフェ・モンタージュ
ライブ音声配信
・最高峰の機材を使用した高音質配信です
・公演から1週間後までアーカイブ視聴可
*映像はございません
料金:1000円