京都市交響楽団メンバーによる室内楽公演、今回はまず生誕150年を迎えたラヴェルの傑作をお聴きいただきます。
今では近代フランス音楽を代表する作品として名高いこの弦楽四重奏曲の第1楽章が、まだ当時音楽院に在籍していたラヴェル(28歳)の卒業制作であり、それが評価されずに音楽院を除籍となったという事実は、2年後のいわゆる『ラヴェル事件』を機にアカデミズムと袂を分かつことになるラヴェルの生涯を象徴するひとつの出来事といえるでしょう。
誰からもその才能を認められながらアカデミックな評価が下されないのは、アカデミズムが「現在=ラヴェル」に適合していないからであるという結論に達し、パリ音楽院の院長デュボアが退職、フォーレが新しい院長になった出来事が、翌年に初めてパリを訪れることになるディアギレフが「バレエ・リュス」をパリで立ち上げるその土壌をも提供することになったと仮定すれば、ラヴェルがパリ楽壇において果たした役割は途轍もないものであったといえます。
そして、20世紀のモダニズムを体現する街となったパリに、チェコの作曲家マルティヌーも暮らすようになりました。1932年、まだラヴェルもいるパリで作曲され、現代音楽のパトロンとして名高いアメリカのクーリッジ財団の賞を獲得した弦楽六重奏曲は、マルティヌーがアメリカのみならず母国のチェコにおいても作曲家として広く認知されるきっかけとなった傑作です。
ゲストに京響からの移籍で今年度から東京フィルハーモニー管弦楽団の首席奏者となり活躍を続けている小峰航一さんと、マルティヌーの作品紹介における泰斗というべきチェロのルドヴィート・カンタさんをお迎えしての豪華メンバーによる演奏でお聴きいただきます。
またあらたな展開となる京響メンバーによる室内楽公演。皆様是非お集まりください!
― カフェ・モンタージュ 高田伸也