「ベルク&フォーレ」
2024年12月24日(火) 20:00開演
【プログラム】
G.フォーレ:
・弦楽四重奏曲 ホ短調 op.121
― コルトーとフォーレによる4手連弾版
A.ベルク:
・ピアノソナタ op.1(独奏:松本望)
・弦楽四重奏曲 op.3
― ベルクによる4手連弾版
「私は最後の偉大なピアニストだ」とアルバン・ベルクは言ったらしい。「ただし"4手"のための」と付け足したうえで。
そのベルクによって1910年に作曲された弦楽四重奏曲には、おそらくその2年前に第一楽章のみが書かれたピアノソナタの、そのままでは形にならなかった"終わり"の姿が描かれているのではないかと考えています。
言い換えれば、ピアノソナタはファウストの「第1部」であり弦楽四重奏曲がその「第2部」であるといえば、随分な飛躍ではありますが、話がもう少し明瞭になってくるかもしれません。
つまり、神に全てを委ねるマルガレーテを前にして「これが裁きだ」というメフィストの頭上から「救いだ」という声が聴こえて幕が下り、ひとまずの完結となった「第1部」がピアノソナタ。そして、「とまれ、そなたは美しい」という契約の言葉を口にして、その場に倒れたファウストが天使の合唱に包まれて劇的な結末を迎える「第2部」が弦楽四重奏曲。
… これらの作品がシェーンベルクの『浄夜』において示されたいわゆる「発展的変奏」の理念のまさに発展形であるとすれば、そのインスピレーションの元となったリヒャルト・デーメルの詩『浄夜』とても、受胎/浄化の系譜における『ファウスト』の発展的変奏ではないかといえるところまで想像は膨らんでいきます。
上のように仮定出来るとすれば、ピアノソナタの完結編である弦楽四重奏曲をアルバン・ベルク本人によるピアノ4手版が残されていることの意味が一層強いものとして意識されるのではないかと思い、作曲家・ピアニストである松本望さんと若林千春さんのお二人にご相談したところご快諾くださり、ベルクの命日である12/24に本公演を開催することとなりました。
(追記)プログラムに松本望さん独奏によるベルクのピアノソナタが加わりました。ベルクの原点である発展的変奏、その第1部と第2部を連続してお聴きいただけるまたとない機会となります。どうぞご期待ください!
カップリングには、今年没後100年を迎えたフォーレの弦楽四重奏版の4手ピアノ版をお聴きいただきます。長いキャリアの中で、歌劇と宗教曲を除いて全てピアノで演奏される作品だけを書いてきたフォーレが最晩年に最後の作品として書いた弦楽四重奏曲。その第2楽章がフォーレの手によってピアノ4手版として残されており、フォーレの友人である大ピアニスト、アルフレッド・コルトーがピアノ4手版に編曲した第1楽章と第3楽章をあわせてデュラン社から出版されている楽譜を使用します。
作曲家の4つの手で、一つの楽器で奏されることで、初めて見えてくる二つの物語の形。12/24の夜、皆様是非お集まりください!
― カフェ・モンタージュ 高田伸也
ライブ音声配信
・最高峰の機材を使用した高音質配信です
・公演から1週間後までアーカイブ視聴可
*映像はございません
料金:1000円