「ストリング Unstopped - G 」
2024年11月28日(木) 20:00開演
【プログラム】
J.S.バッハ：
無伴奏チェロ組曲 第1番 ト長調 BWV1007
ベートーヴェン：
チェロソナタ 第2番 ト短調 Op.5-2
ラフマニノフ：
チェロソナタ ト短調 Op.19
僕は世の中の一般的な区分から言うといわゆる「プロ」の演奏家ということになるのかなと思います。そのプロの演奏家ということで平成時代を走り抜いて来ましたが、4.5年前からある一つのテーマが頭から離れず、今はそれに向けて着々と動き出しています。
第二次世界大戦終戦直前に広島あるいは長崎で被曝された方々が語り部となって活動されている姿は多くの方がご存知かと思います。あの語り部のような役割を自分が担い、演奏活動が出来たらというのがそのテーマです。
自分が教えられた事、考えた事、経験から知った事の全てを伝えていきたい。それが正しいかどうかは別にして1人の人間が知り得た事を大学に於いては若い人たちに言葉を交えて、そしてコンサート会場に於いてはさまざまな方々に演奏を通じてお伝えさせて頂き、それを基に音楽、チェロ、時代、そして人間について大いに考えて頂けたら幸せです。
演奏活動は恥をかき反省して米粒一粒成長出来る唯一の機会です。その演奏会で得られるささやかな知見はアップデートしていかないといけないとは強く思います。カフェ・モンタージュで始めた「ストリング - Unstopped」は僕がささやかな知見をアップデートできる重要な演奏会なのです。
カフェ・モンタージュではいつもやりたい事を理解頂き、こうした演奏の場を持てることには感謝しかありません。
目指すところの語り部のような究極のアマチュアに向けて、そのスタートは前回のストリングUnstopped-Cでした。
今回は-Gで、G dur / g mollの曲のみのコンサートとなります。
近い将来オーケストラから完全に離れる時が来ます。
それと同時に孤独と自由を愛しその中でもがき、またカフェ・モンタージュの高田さんには違う事をお願いする事になるでしょう。なぜなら、このモンタージュの空間は音を聴く場所でもあり、音を視覚として見られる唯一無二の場所だと思うからです。自分がそのように思う理由についてはいつかどこかでお話ししたいと思いますが、その孤独と自由にもがく1人の人間の語りをぜひ耳で見て頂きたいと願っております。
― 山本裕康