「ヒンデミットのお誕生日」
2024年11月16日(土) 20:00開演
【プログラム】
P.ヒンデミット:
無伴奏ヴィオラの為のソナタ全曲
・ソナタ op.11-5(1919)
・ソナタ op.25-1(1922)
・ソナタ op.31-4(1923)
・ソナタ(1937)
2024年11月16日(土) 20:00開演
今年も一年で最も大切に思ってる日、11/16がやってきます。パウル・ヒンデミット129回目の誕生日です!
なんて、個人的に勝手に祝ってるつもりが、カフェ・モンタージュのおかげで、この日を演奏会として開催させてもらい、それももう4回もやらせてもらっていて、幸せな限りです。
4曲の無伴奏は2021年にも全曲公演を行いました。そして、その演奏会の時に出会ったある人がきっかけになり、今夏2024年7月のオーケストラ移籍が決まったのは、全くもって個人的な話。この4曲は、各々が演奏会のメインになるべき力を持つもので、一つの演奏会で一度にやるものではない!とあの時(2021)に強く思ったはずなのに、今回また懲りずに(?)もう一度再演したいなと思ったのは、やはり自分の中で再出発の意味があるのは正直なところです。
ヒンデミットの音楽は優しくありません。もう全然優しくないんです。あくまで徹頭徹尾ヒンデミット独自の世界観を出すために、隙がなく音が敷き詰められていきます。強い音楽、質実剛健、突き進む強い意志を持った音による芸術作品。それに正面切って立ち向かって行く時、それは厳しい先生に諭されるような、鼓舞されるような、そんな気持ちになるのです。
ずいぶんと色々なことを考えた最近数ヶ月でした。これで良かったのか、あれが良かったのか、何が悪かった、これは悪くなかった。考えても考えても、時間は非情に只々進みます。あれ?これヒンデミットの音楽なのでは?
ある偉大なヴァイオリンの先生は「音楽は終止線に向かって一直線に進む、謂わば沈黙に向かって行くものである。」とおっしゃっていました。無伴奏ヴィオラソナタを書いた1919〜1937はヒンデミットの人生の激動期。正解が不正解で正義が悪で、悪が正義で不正解だらけの正解だらけの世の中。そんなヒンデミット自身の人生を考えたとき、いわゆる「ヒンデミット事件」や亡命など、ただただ自分の音楽の道を邁進していたら、気づいたら思いがけない所にいた、といった生涯だったかもしれません。
音楽芸術は、常に時間と共に在ります。音楽の魅力に取り憑かれ、そして今舞台の魅力に惹かれて、かつてはあれだけ苦手だったワーグナーの楽劇を崇拝するような人生を選択してしまった自分の今。これで良かったのかな?大丈夫かな?そんな甘ったれた迷いに時間は待ってくれません。刻刻と過ぎ去る時間にめげず、強く生きたい!そんな想いに応えてくれるのは、私の人生において、常にヒンデミットなのです。
― 小峰航一
ライブ音声配信
・最高峰の機材を使用した高音質配信です
・公演から1週間後までアーカイブ視聴可
*映像はございません
料金:1000円