2021年11月19日(金) 20:00開演 ピアノ:上野真 C.フランク: ・前奏曲、コラールとフーガ ・前奏曲、アリアと終曲 ・交響的変奏曲(G.サマズイユ編) ≫上野真氏・プログラムノートはこちら
開場時間:19:30 開演時間:20:00 定員:40名 ・・・・・・・・・・ 上野真氏CD・特別価格にて販売! サイン入りCDをご希望の方はOnlineStoreにて ご購入はこちら!→ Online Store
カフェ・モンタージュでセザール・フランクの作品を演奏させていただくのは、 2019年5月に、ニコラ・ ドートリクール氏とヴァイオリンとピアノの為の作品を演奏して以来です。 その時にはフランクのヴァイオリン・ソナタだけでなく、 若き時代の作品、そして交響曲ニ短調の、エルンスト・アルダーによるバイオリンとピアノ編曲版なども演奏しました。 今回ピアノ作品のみの演奏会を企画するにあたり、前回のプログラムプロデューサーを務めて下さった瀬尾和紀氏ともご相談し、 最終的に交響的変奏曲の1台ピアノ版(サマズイユ編)も加えることにしました。 ギュスターヴ・サマズイユ(Gustave Samazeuilh)について少しばかり記しておきます。 1877年6月ボルドー生まれ、1967年まで生きていた非常に長寿の音楽家でした。ショーソン、ダンディ、デュカなどに師事、 スコラ・カントルムに関係していた作曲家、編曲家であり、様々なフランスの出版社から出ていた、 多くの作曲家の作品の編曲を手がけていたようです。 セザール・フランクのソロピアノ作品の双璧、前奏曲、コラールとフーガ(1884年)、前奏曲、アリアと終曲(1886年)、 そしてオーケストラとピアノの為の交響的変奏曲(1885年)は、フランク晩年の大作です。三連作といっても良いかもしれません。 リヒテルやデームスのコメントを待つまでもなく、ピアノ音楽史上屈指の完成度を誇る超傑作と言え、その音楽としての純度、 磨かれた構成、原点となるインスピレーション、どの角度から見てもピアノ音楽の最高峰の一角を占めると思います。 以前評論家の石井宏氏が書いていたことですが、私も、フランクに最も近い作曲家はブルックナーなのではないかと常々感じていました。 2人ともほぼ同世代、1820年代前半の生まれで、亡くなったのもほぼ同じ1890年代。2人とも生活の場として決めた土地を一生離れず、 その土地のカトリック聖堂のオルガニストを長期間努めた事も似ています。同時に作曲の教師として後に続く世代を育ててもいます。 彼らの作品、作風はもはや所謂「自己表現の芸術」などという低い次元のものではなく、宇宙、神、宗教、哲学、自然が渾然一体となり、 美として具現化されているもので、人間が作ることのできる最も崇高な領域にまで到達していると言えるのではないでしょうか。 フランクについては、弟子のヴァンサン・ダンディの有名な、簡略ですが師匠への敬意に満ちたエッセイがあります。 またここ日本では昔から出ている全音版の楽譜にある山口博史氏の(これも簡略ですが、本質を突いた)解説が大変有益です。 ご興味のある方は、まずはそれらの資料を是非読んでみていただきたいと思います。 上野真