2021年11月16日(火) 20:00開演 ヴィオラ:小峰航一 P.ヒンデミット: 無伴奏ヴィオラソナタ op.31-4 無伴奏ヴィオラソナタ op.25-1 無伴奏ヴィオラソナタ (1937) 無伴奏ヴィオラソナタ op.11-5
開場時間:19:30 開演時間:20:00 定員:40名 ・・・・・・・・・・・ 小峰航一氏CD・特別価格にて販売! サイン入りCDをご希望の方はOnlineStoreにて ご購入はこちら!→ Online Store
4曲の無伴奏ヴィオラソナタは、その一つ一つが演奏会のメインになる作品です。ヒンデミットが自身の楽器として選んだヴィオラのための4つの大作を、全曲まとめて演奏するのは不遜な事かも知れません… しかし!どうしても今年挑戦してみたかった理由があります。 1934年、39歳になるヒンデミットは自身の作品の中でも力作であると確信していた無伴奏ヴィオラソナタop.25-1を録音しています。1934年という年はヒンデミットにとって大変な1年で、有名なヒンデミット事件が起こったことから、ドイツ音楽界で難しい立場に立たされてしまいます。おそらくそのきっかけになったのがこの録音セッションで、1月にロンドンで行われた録音の後、ヒンデミットを取り巻く環境は激変していきます。何故きっかけになったのかは、様々な資料が物語っているので割愛します。 記録によるとロンドンにて1934年1月21日にベートーヴェンとヒンデミットの弦楽三重奏を録音、23日に無伴奏ヴィオラソナタとヴィオラとチェロのためのデュエットを録音、となっています。ヴァイオリンのゴールドベルクの滞在が難しかった状況もあるとの事ですが、ベートーヴェンとヒンデミットの弦楽三重奏の録音を1日でというのは、そうとう詰め込んだハードなスケジュールです。その上調べてみると無伴奏ヴィオラソナタと共に録音したデュエットを作曲したのは1934年1月23日の午前中… まさかの録音当日!しかもめちゃくちゃ難しい曲です。純然たる初見にて完璧な演奏を録音したチェロのフォイアマンにも舌を巻きますが、そのデュエットの録音の後で無伴奏ヴィオラソナタの録音だったのでしょう。何たる体力! 自身を取り巻く環境がどれだけ大変な状況になって行こうとも、どうしてもこの時自分の演奏を記録しておきたかったヒンデミットの強い意志が感じられます。改めて20世紀の大作曲家にして大ヴィオラ奏者、ヒンデミットを尊敬してやみません。 実はワタクシ小峰航一も先月39歳を無事迎えました。比べるべくもない小さな存在ではありますが、ヒンデミットが思い描いた景色が少しでも見てみたい!と一念発起し、この全曲演奏会を決意しました。弾く側も、そして聴いていただく方もハードな演奏会です。 39歳のヒンデミットが録音に立ち向かっている光景を頭に描きつつ、ヴィオラ奏者にとってかけがえのない作品である無伴奏ヴィオラソナタ全4曲を演奏したいと思います。 今回は、以下の順番での演奏を予定しています。 ・op.31-4 豪快さと繊細さ、大きな構築物。ヒンデミットらしさ ・op.25-1 凝縮された力強さ、大胆な楽器の響き、最高峰のソナタ ・1937 簡潔な形式と明快な響き、亡命後のヒンデミットの音楽を予感 ・op.11-5 バッハへの傾倒を感じさせる古典的な形式の中にヒンデミット特有の渋い響き、シャコンヌを彷彿とされる長大なパッサカリア 皆様のご来場を心よりお待ちしております。 小峰航一